もう君がいない
「かわいいって言ってたから。」
「聞こえてたの?」
小さく、独り言をつぶやいただけだったのに。
「ぼそっと聞こえたから茉菜の方見たら、そのネックレスを凝視してたから。」
「えっ、見てたの?」
気づいてなかった自分が恥ずかしい。
「心ここにあらず、って感じで、食い入るように見てたもんな。」
「だ、だって、、」
「ん、かして?」
「え?」
蓮は、スッと、私の手の箱からネックレスを取ると、
「つけてみて。」
そう言って、私の首に、
これまた夕日に照らされて、一層輝くそのネックレスをつけてくれた。
ネックレスをつけるため、蓮が私に腕をまわすと、
なんだか抱きしめられているようで、
蓮の顔がすぐ近くにあって、一人でドキドキしてしまう。
つけ終えて、私を見た蓮は、
「似合ってる。」
と言って、微笑むと、
今度は本当に、、
ぎゅっと、、
力強く抱きしめてくれた。