もう君がいない
約束
「明けましておめでとうございます。」
「おめでとう!今年もよろしくね、茉菜ちゃん!」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
蓮の家の玄関先で、
ありふれた新年の挨拶をすませる、私とおばさん。
「じゃ、行ってくる。」
「気をつけてね~。茉菜ちゃんも、寒いから体冷やさないようにね。」
「はい。行ってきます。」
おばさんに見送られた私達は、
ついさっき、年が明けたばかりの、まだ真っ暗な道を歩く。
「ん。」
当たり前のように、私に手を差し出す蓮。
「寒いね~!」
なんて言って、その大きくて温かい手をとる。
すると、つないだ私の手ごと、
蓮は自分のコートのポケットに入れてくれた。
その自然な流れにも、私はきゅんとしてしまう。
「なんか新年って感じ。」
「なにが?」
「空気が新しい気がするから!」
「はははっ。なんだそれ。」
いつも歩いてる道も、
新年ってだけで、
今までとはどこか違う気がして、
新しい毎日が待っているようでワクワクする。