もう君がいない


「わぁ~!やっぱ人多いね。」

「はぐれんなよ?」

「もう子どもじゃないもん!」


目的地の神社に着くと、

すでに初詣に来た、たくさんの人々で賑わっていた。


「屋台もいっぱい!」

「年越しそば食ったばっかじゃん。」

「え~、でもおいしそうに見えるんだもん。」

「はいはい。リンゴ飴でいいんだろ?」

「さすが!」


たくさんある屋台。

たくさんあるおいしそうな食べ物。


でも、私が昔っから一番好きなのはリンゴ飴。

これだけは、どんなにお腹いっぱいだろうと外せない。




「ほら。」

「やったー!ありがとー!」


蓮が買ってくれたリンゴ飴を手に、ルンルン気分で境内へと進む。


「ん~、おいしい!」


初詣の列に並んでる間、私はすぐにリンゴ飴を袋から出した。

一人で喜ぶ私を見て、フッて笑う蓮。


「髪まで食いそう。」

そう言って、


風になびいて、口元につきそうになる私の髪を、

そっと、、

耳にかけてくれた。


そんな蓮に、ドキドキしっぱなしの私。


私の顔が赤くなって、リンゴみたいになっちゃいそう、、。


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