もう君がいない
「絵馬?」
「うん!」
そこには、たくさんの絵馬が掛けられていて、
冷たい風に吹かれて、隣同士の絵馬たちがぶつかって、
カランコロン、、と、音が鳴る。
「一緒に書こう?」
「いいよ。」
私が言うことに、何一つ嫌な顔せず、
優しく笑って、いつも付き合ってくれる。
「そうだ!2つ買って、別々に書こう?」
「なんで?」
「それぞれ願いを書いて、来年また一緒に初詣来たとき、お互い確認しようよ!ちゃんと願いが叶ったか。」
何も考えてなかった。
ただ、この私のアイディア素敵じゃない?
それくらいの感覚で。
「わかった。」
そう言って、オッケーしてくれた時の蓮が、どんな気持ちでいたのか。
当たり前に未来を語る私を、
当たり前に未来の約束をする私を、
蓮が、どんな想いで見つめてくれていたのか。
うかれて絵馬を書いていた私は、知る由もなかった。
着実に近づいていた、
刻一刻と、、