もう君がいない
「食べれそう?お腹いっぱいなら、明日にでも、」
「いや、いま食う。」
こんなの、明日まで待てるかっつーの。
「よかった。あ、コーヒー淹れたんだった。持ってくるね。」
「さんきゅ。」
「二人だし、もうそのまんまフォークで食べちゃおっか?」
「ん。」
茉菜がキッチンに行って、俺はもう一度ちゃんとケーキを見る。
”HAPPY BIRTHDAY REN”
そう書かれたクッキーものってた。
どれだけ時間をかけて作ってくれたのか。
どんな気持ちで作ってくれたのか。
その時の茉菜を想像するだけで、俺は心があったかくなった。
「うまっ、」
「ほんと?」
「うん、うまい。」
本当に甘さ控えめに作られたケーキは、食べやすくてうまかった。
「不安だったんだ~。でもよかった、喜んでもらえて。」
飯のときと同じように、俺の反応に安心して、自分も食べ始める。
本当に、今日の茉菜は、
いつにもまして愛おしい。
これも、誕生日マジックか?
いや、、
俺が、茉菜に恋している証拠か。