もう君がいない
「茉菜ちゃん!」
すでに家を出ていたというおばさん達が、走って病室の前に来た。
「いま、先生たちが中で診察されてます。」
「そう。ありがとう。」
「いえ。」
しばらくすると、中から先生たちが出てきた。
「今のところ、問題はありません。意識もはっきりしているし、状態も落ち着いてますよ。」
「そうですか。」
「ありがとうございます。」
おばさんとおじさんが並んで頭を下げると、みんな戻っていった。
「入ろっか?」
おばさんが、私に声をかけてくれた。
でも、
「いえ、おばさん達が戻ってきたし、私も一回家に帰ります。」
「そうだな。茉菜ちゃんのお母さんたちも心配しているだろうし。」
「そうね。茉菜ちゃんも、一度ゆっくり休んだ方がいいわね。」
「はい。少し休んで、また来ます。」
私はそう断って、病院を後にした。
家に戻ると、リビングからお母さんが飛び出してきた。
私がおばさんに聞いた話を告げると、
お母さんは私を強く抱きしめ、静かに泣いていた。
私は、もう泣かなかった。
昨日、一生分の涙を流しきったのか、、
もう泣かないと決めたからか、、