もう君がいない
ブランケット
「見て!綺麗だったから買ってきちゃった!」
近所のお花屋さんで買った、綺麗なお花を蓮に見せる。
「飾っとくね?」
「さんきゅ。」
そのお花を花瓶に挿し、サイドテーブルに飾った。
蓮が倒れて、もう一か月以上がたった。
アメリカで告げられた1年。
いつの間にかその期限を越えていたけど、蓮に大きな変化はない。
小さな発作や、多少の体調不良があって、退院はできないものの、
私達は、穏やかな毎日を送っていた。
「今日ね、朝から里中君が、、」
こうして、学校帰りに病院に来ては、
その日あったことを蓮に話す。
どんなことがあって、
どんな気持ちだったのか、
私のくだらない話も、蓮はいつも笑顔で聞いてくれる。
あれから私は、美雪達に、蓮のことを話した。
蓮と私が休んだ日、
担任から、蓮が入院したことと、私は体調不良で欠席することが伝えられていたらしく、
「覚悟はしてた。」
そう言った美雪だったけど、しばらく涙が止まらなかった。
「そんな、、」
里中君も、悔しそうに涙を流し、
「そうか。」
公貴は、静かに顔を曇らせた。