もう君がいない

リミット



3月に入ってすぐ、


蓮を、また大きな発作が襲った。


蓮が見たいと言った桜はまだ咲かず、梅の花が見ごろを迎えていた。



昼休みにおばさんから連絡があり、私はいてもたってもいられず、

美雪に後を頼み、すぐに学校を飛び出した。


病院に着いた時には、発作はおさまり、蓮は眠っていた。


「もう、いつどうなってもおかしくないって。次に大きな発作が起きたら、もう、、」


そう言って、ハンカチで顔をおさえたおばさん。


私は、眠っている蓮にかけ寄ると、

蓮の手を、そっと両手で包んだ。



蓮が元気だったから、、

忘れかけていた現実。


いや、忘れたかった。


でも、そんなに甘くはなかった。




「蓮、、」


嫌だ。

嫌だよ、蓮。


行かないで?

どこにも行かないでよ、、


私をおいてくの?


私を一人にしないで、、。


神様、お願いですから、

私から蓮を奪わないで、、。


< 415 / 448 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop