もう君がいない
リミット
3月に入ってすぐ、
蓮を、また大きな発作が襲った。
蓮が見たいと言った桜はまだ咲かず、梅の花が見ごろを迎えていた。
昼休みにおばさんから連絡があり、私はいてもたってもいられず、
美雪に後を頼み、すぐに学校を飛び出した。
病院に着いた時には、発作はおさまり、蓮は眠っていた。
「もう、いつどうなってもおかしくないって。次に大きな発作が起きたら、もう、、」
そう言って、ハンカチで顔をおさえたおばさん。
私は、眠っている蓮にかけ寄ると、
蓮の手を、そっと両手で包んだ。
蓮が元気だったから、、
忘れかけていた現実。
いや、忘れたかった。
でも、そんなに甘くはなかった。
「蓮、、」
嫌だ。
嫌だよ、蓮。
行かないで?
どこにも行かないでよ、、
私をおいてくの?
私を一人にしないで、、。
神様、お願いですから、
私から蓮を奪わないで、、。