もう君がいない


そんな私の願いもむなしく、、


蓮の体調は、日に日に悪化していった。




「蓮?」

私が耳元でささやくと、ゆっくりと目を開けた蓮。


「ただいま。」

そう言うと、ふわっと微笑んでくれた。



食事の時だけ、看護師さんがベットごと起き上がらせるけど、

あまり食べることもできず、点滴での栄養補給をすることの方が多い。


見る見るうちに体は痩せ細っていき、

体力も落ちてしまい、すぐに疲れてしまって、

今では、一日のほとんどを寝て過ごしている。



こうして、誰かが来て話しかけると、

小さな声で頑張って話したり、そっと微笑んで相槌を打つ。


いつの間にか私も、

言葉で話すのが難しくても、目を見れば会話できるようになった。




「今日から、高校3年生になったよ。」


そう伝えれば、かすかに頷く蓮。


「びっくりなのが、またみんなクラス一緒だったの!すごいよね?」


学校に張り出してあった、新クラス。

私と美雪、公貴と里中君、みんな一緒だった。


そこに蓮だけがいないことが、すごく悲しくて、すごく悔しかった。


< 416 / 448 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop