もう君がいない
そんな私の願いもむなしく、、
蓮の体調は、日に日に悪化していった。
「蓮?」
私が耳元でささやくと、ゆっくりと目を開けた蓮。
「ただいま。」
そう言うと、ふわっと微笑んでくれた。
食事の時だけ、看護師さんがベットごと起き上がらせるけど、
あまり食べることもできず、点滴での栄養補給をすることの方が多い。
見る見るうちに体は痩せ細っていき、
体力も落ちてしまい、すぐに疲れてしまって、
今では、一日のほとんどを寝て過ごしている。
こうして、誰かが来て話しかけると、
小さな声で頑張って話したり、そっと微笑んで相槌を打つ。
いつの間にか私も、
言葉で話すのが難しくても、目を見れば会話できるようになった。
「今日から、高校3年生になったよ。」
そう伝えれば、かすかに頷く蓮。
「びっくりなのが、またみんなクラス一緒だったの!すごいよね?」
学校に張り出してあった、新クラス。
私と美雪、公貴と里中君、みんな一緒だった。
そこに蓮だけがいないことが、すごく悲しくて、すごく悔しかった。