もう君がいない


それから、数日が経ったある日。


春だというのに、気持ち良く晴れず、一日中曇っていた空から、強めの雨が降り始めた放課後。



提出できずにいた進路希望の紙。


蓮と話した後に必死で考え、見つけた、私の一本の道。

やっと書いて、職員室に提出しに行った。



それから、今日は一緒にお見舞いに行こうと、私を待っていてくれた美雪と、

相合傘で学校の正門を出た、その時だった。




突然鳴った、私の携帯。


画面を見ると、おばさんからだった。




嫌な予感がした。


なにかわからない、

得体のしれない恐怖が、急に私に襲いかかってきた。




「茉菜?出ないの?」


鳴り響く携帯を持ったまま、固まった私を、

不思議そうに見る美雪。


「あ、うん。」


私は、慌てて電話に出た。



すると、、


かなり緊迫した、おばさんの泣き叫ぶような声がして、、



「茉菜ちゃん!蓮が、、蓮が!」



私は、美雪の傘を飛び出して走った。


< 419 / 448 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop