もう君がいない
それから、数日が経ったある日。
春だというのに、気持ち良く晴れず、一日中曇っていた空から、強めの雨が降り始めた放課後。
提出できずにいた進路希望の紙。
蓮と話した後に必死で考え、見つけた、私の一本の道。
やっと書いて、職員室に提出しに行った。
それから、今日は一緒にお見舞いに行こうと、私を待っていてくれた美雪と、
相合傘で学校の正門を出た、その時だった。
突然鳴った、私の携帯。
画面を見ると、おばさんからだった。
嫌な予感がした。
なにかわからない、
得体のしれない恐怖が、急に私に襲いかかってきた。
「茉菜?出ないの?」
鳴り響く携帯を持ったまま、固まった私を、
不思議そうに見る美雪。
「あ、うん。」
私は、慌てて電話に出た。
すると、、
かなり緊迫した、おばさんの泣き叫ぶような声がして、、
「茉菜ちゃん!蓮が、、蓮が!」
私は、美雪の傘を飛び出して走った。