もう君がいない
「蓮!」
蓮に走り寄った、おばさんとおじさん。
私は、美雪と一緒に、蓮の足もとに立った。
「お袋、親父、、」
酸素マスクのせいで、いつもより聞き取りづらい、蓮の声。
「ごめんな、親不孝で。」
「何言ってるの!」
「そんなことあるわけないだろう、」
涙が溢れて止まらないおばさん。
初めて見る、おじさんの涙。
「俺、ちゃんと幸せだったよ。お袋と親父の息子で。」
蓮、、
いつもは恥ずかしがって、おばさんやおじさんに何も言わなかった蓮が、
初めて口にする、感謝の言葉。
「俺のために、いろんな手を尽くしてくれて、アメリカにまで連れってってくれて、感謝してる。振り回してごめん。」
ときどき、苦しそうに、
息絶え絶えになりながらも、話すことをやめない蓮。
わかってるんだよね。
蓮も、、
もう、これが最後になるって。
いま伝えなきゃ、もう時間がないって。
蓮が、終わる準備をしている。