もう君がいない
「いつも俺のことを最優先して、俺の意思を尊重してくれて、ありがたかった。」
「そんなの、当たり前のことよ。」
「親にとって、子どもが一番だからな。」
誰がどう見ても、素敵な家族だった。
本当に、温かくて。
「感謝してもしきれない。その恩を返せなくて、親孝行できなくて、本当にごめん。」
「もう十分よ。蓮がここまで生きてくれただけで、私達はもう十分。」
「ん。ありがとう。」
「私達のセリフだよ。蓮、ありがとう。」
涙が、一気に溢れだした。
今までずっと我慢してきた。
蓮が倒れてからずっと。
蓮の前では泣かないと、、
蓮とは、笑顔で過ごしたいと、、
そう思って頑張ってきたけど、
もうこれ以上は無理だよ、、。
だって、こんなに仲の良い家族が、
こんなに優しい親子が、
どうして、離れ離れにならなきゃいけないの。
神様は、何を見てるの。
しばらく3人で会話した後、
蓮は、足元の私達に目線を向けた。
「二人ともこっちに来てあげて。」
おばさんに呼ばれて、私達は蓮の枕元へと寄った。