もう君がいない


「久々の日本はどう?」


沈黙を破ったのは、光貴だった。


「いろいろ変わってて戸惑うこともあるけど、でもやっぱ日本が落ち着くよ。」


さらっと答える蓮。



「そっか。学校にも、早く慣れるといいな。」


「ああ、頑張るよ。」


「何かあったら俺らもいるし、昨日話した拓弥もいい奴だからさ。」


「さんきゅ。」



それから学校に着くまで、アメリカはどんな感じだった、とか二人で話してた。


何事もないように、自然と会話する二人。



私は、一度も会話に入らなかった。


打ち解けていく二人を見ながら、私の心はどんどん迷路に迷い込んでいった。


二人が仲良くなってくれるのは、もちろん喜ばしいことなのに。



私、どうしちゃったんだろ、、


光貴と繋がれたままの手。

普通に話してる二人。


私は静かに、二人に気づかれないようにため息をついた。


< 43 / 448 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop