もう君がいない
「久々の日本はどう?」
沈黙を破ったのは、光貴だった。
「いろいろ変わってて戸惑うこともあるけど、でもやっぱ日本が落ち着くよ。」
さらっと答える蓮。
「そっか。学校にも、早く慣れるといいな。」
「ああ、頑張るよ。」
「何かあったら俺らもいるし、昨日話した拓弥もいい奴だからさ。」
「さんきゅ。」
それから学校に着くまで、アメリカはどんな感じだった、とか二人で話してた。
何事もないように、自然と会話する二人。
私は、一度も会話に入らなかった。
打ち解けていく二人を見ながら、私の心はどんどん迷路に迷い込んでいった。
二人が仲良くなってくれるのは、もちろん喜ばしいことなのに。
私、どうしちゃったんだろ、、
光貴と繋がれたままの手。
普通に話してる二人。
私は静かに、二人に気づかれないようにため息をついた。