もう君がいない


「蓮君の言葉、もう忘れたの?」

「え?」


蓮の、言葉、、


「茉菜は一人じゃない。茉菜の周りには、みんながいるって言ってたじゃない。いま、私達がここにいる!」



”茉菜の周りには、たくさんの人がいる。茉菜は、一人じゃない。”


フッとよみがえる、あの日の蓮。



「茉菜には笑っててほしい、って。茉菜には、自分の分も幸せに生きてほしい、って。」


美雪が繰り返す蓮の言葉に、私は涙が止まらない。


「わかってる。わかってるけど、でも、、」



どんなに頭ではわかってても、

そんなに簡単に笑えない。


頑張らなきゃって思っても、

どうしたらいいかわからない。



「大丈夫。」


そう言って、美雪は私を抱きしめる。


「茉菜には私達がついてるから。

いま辛くて苦しくて、前が何も見えないとしても、、いつかまた、笑える日がくるから。

その時まで、私達が茉菜を支えるから。」


ああ、、


あったかい、、


心の奥まで、じんわり温かくなる。


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