もう君がいない
Chapter.6 〜 未来を刻む針 〜
5年後
「茉菜お姉ちゃん!」
「あ!茉菜お姉ちゃんだ!」
「ほんとだ!おはよう!」
「茉菜お姉ちゃん、おはよう!」
次々に飛んでくる声。
次々に飛んでくる笑顔。
「みんなおはよう!」
とびっきりの笑顔を送れば、
とびっきりの笑顔が返ってくる。
この春私は、無事に看護師としてのスタートを切った。
第一希望だった病院に合格し、第一希望だった小児科に配属された。
ここまでの道のりは、決して楽なものじゃなかった。
何度もくじけそうになった。
何度も逃げ出しそうになった。
でもこうして、なんとか今日までやってこれたのは、やっぱり蓮のおかげ。
いつも支えてくれた、みんなのおかげ。
子ども達の笑顔が、今の私の幸せ。
今の私の、生きがいなの。
頑張ってきてよかったって、
もっともっと頑張ろうって、そう思えるの。
蓮、ちゃんと見てくれてる?
私、看護師になったよ。
子ども達が、今日も笑ってくれたよ。
私、この子達の笑顔のために、
今日も、生きるよ。
【 完 】