もう君がいない
「光貴!茉菜ちゃん!こっちこっち!」
学校に着くと、グラウンドに大型バスが何台も止まり、その前に生徒が集まってざわざわしていた。
里中君が立って手を挙げ、私達に手招きした。
「おはよ。俺らが最後?」
「おう。これで俺らのクラス全員集合!」
今日もやっぱり蓮は、私達よりも先に着いていた。
蓮と目が合う。
「おはよ。」
「うん、おはよ。」
挨拶だけで終わる会話。
寂しいと感じた自分に、少し嫌気がさす。
あの蓮が帰って来た日以来、蓮と二人でゆっくり話すことはなかった。
学校では、光貴や美雪や里中君がいるし、朝は別々だし、、
帰りも、特別一緒に帰ることはなくて、いつも別々になってしまう。
蓮の家にお邪魔することもないし。
だから、蓮との会話は、挨拶と何気ないみんなとの話の中だけ。
そんな状況に、私は寂しさも感じるし、蓮とゆっくり話したいのに、、なんて思う。
数年振りに再会したのに、蓮はもっと話したいこととかないのかな?
やっぱり、本当にもう、私のことなんてただの幼なじみなのかな?