もう君がいない
3人で教室に入ると、
「よっ、光貴。」
手を挙げ、こっちに向かってかけ寄ってくる。
「おお、拓弥。お前も同じクラス?」
「おいおい、気づいてなかったのかよ〜。俺はちゃんと、お前の名前までチェックしたのに。」
「わりぃ。見てなかった。」
「この薄情者!茉菜ちゃんも美雪ちゃんもおはよ〜!1年間よろしくね!」
「こちらこそよろしくね、里中君!」
「拓ちゃんも一緒か〜!めっちゃ楽しいじゃん!今年のクラス!」
美雪はなぜか里中君と仲良くて、拓ちゃんって呼ぶんだよね。
里中拓弥(さとなか たくや)くん。
去年、光貴と同じクラスで仲良くなったみたいで、私や美雪もよく顔を合わせていた。
それから、光貴と里中君は、同じサッカー部に所属してることもあって、今は光貴と一番仲良いんじゃないかな。
結構人見知りしちゃう私だけど、里中君はすごく人懐っこくて、誰とでも仲良くなれちゃう人だから、私も楽に話せるんだ。
美雪に言わせれば、ちょっとバカっぽいただのお調子者、らしいけどね。
3人どころか、里中君も一緒だなんて。
このクラス最高すぎるよ〜!
今年は修学旅行もあるから、絶対絶対楽しい1年になる!
この時までは、これから始まる1年間に、心を踊らせていた私。
この数分後、、
私の期待は、ガラガラと音を立てて崩れていくこととなった。