もう君がいない
「茉菜?どうしたの?」
「ごめん!私、ロッジに戻るね!」
「えっ?いきなりどうしたの?あっ、私も一緒に戻るよ!」
勢いよく走り出した私を、後ろから美雪が走って追いかけてきた。
私、何やってるんだろ、、
蓮が一人にならないように、
蓮が一人で辛い思いをしないように、
側についていてあげなきゃいけなかったのに、、
いつだって、悲しい目をする蓮を、私が隣で笑わせてあげてたのに、、
何で気づけなかったんだろう。
きっと蓮は、また悲しい目をしてる。
小さい頃、、
僕もみんなと遊びたい!どうして僕だけ女の子と遊んでなきゃいけないんだ!
そう言って、泣きじゃくっていた蓮。
まだ自分の病気さえ理解できなくて、他の子と違う自分を嫌っていた。
小学生になる頃には、自分は心臓が悪いから仕方がないと、諦めるようになった蓮。
最初は誘われる遊びにも、段々と誘われなくなっていって、男子の輪に入って行こうともしなくなった。
そんな蓮を、また一人にしちゃうなんて。
最低だ、私。
バカだ、私。
早く蓮のとこへ行かなきゃ。
私は、足が絡まりそうになりながら、必死にロッジへと走った。