もう君がいない
美雪にそう言われて、私はもう一度、女子と話してる蓮の方へ目を向ける。
「うん、いいや。楽しそうだし、私の取り越し苦労だったみたい。」
「そっか、ならいいけど。あ〜、疲れた〜!」
そう言って美雪が、近くにあった木の切り株に腰かけたとき、
「茉菜?」
名前を呼ばれて振り向くと、蓮がベンチから腰を上げてこっちを見ていた。
「あっ、本当だ〜。」
「美雪ちゃんも〜!」
「茉菜ちゃんも美雪ちゃんも、こっち来て一緒に話そうよ〜!」
蓮に続いて私達に気づいた女子達が、私達を誘ってくれた。
私と美雪は一度顔を見合わせ、一緒に蓮達がいるベンチの方に向かった。
「ねぇねぇ、展望台どうだった〜?いま行ってきたんでしょ?」
私の目の前にいた子が、身を乗り出すようにして聞いてきた。
「そんなに遠くなくて、景色もすごく綺麗だったよ〜!」
美雪がそう言うと、その子の表情がパッと明るくなり、目をキラキラ輝かせた。