もう君がいない
「私も行ってみたいな〜!そうだ!蓮君、後で一緒に行ってみない?」
、、え?
その子のそのセリフに、その子が隣の蓮を見るその目に、私は一瞬驚いてしまった。
その子は、亜衣ちゃん。
今年同じクラスになって初めて知った子。
ギャルではないけど、私達のクラスの女子の中では一番派手で、ばっちりメイクで際立つ目力が強い子だった。
でもそのツンとした見た目とは裏腹に、男女問わず誰とでも気さくに話す、感じの良い女の子。
普段は特に一緒にはいないけど、私達のクラスは全体的に雰囲気がよくて、みんな仲が良いからたまに話すくらい。
でも、いまの亜衣ちゃんを見れば、誰だって気づいているだろう。
亜衣ちゃんは、蓮のことが好きなのかも。
そこまでではなくても、気になる存在であることは確実だろうと。
みんなが蓮に目を向ける。
その場にいた他の女子3人は、亜衣ちゃんと仲良しの子達だった。
蓮の返事が気になるのだろう。
きっと、亜衣ちゃんを応援しているんだろうな。
そう思ったとき、私は胸の奥がギュッと締め付けられた気がした。