もう君がいない
私は、寝ているみんなを起こさないよう気をつけながら、そっと部屋を出た。
玄関に置いてあった懐中電灯を持ち、意を決してロッジの外に出る。
懐中電灯の明かりを頼りに、私は展望台へと向かった。
展望台への道は、所々に街灯が立っているし、今日は満月で光もあり、思っていたよりも明るかった。
パーカーを羽織ってきたけど、4月の夜はまだ少し肌寒い。
でもその肌寒さも、今はちょっと心地いい。
「あっ、あそこだ。」
目の前に展望台が見え、私は早足になる。
あれ、、?
誰かいる、、?
展望台に近づくと、ベンチに誰か座っているのがわかった。
私は少し怖くなり、ゆっくりと近づく。
私の足音に気づいたのか、その人はパッと振り返って懐中電灯を私に向けた。
「えっ、蓮、、?」
「茉菜、、?」
懐中電灯で私を照らしたのは、蓮だった。