もう君がいない
何だか視線を感じて隣を見ると、蓮が私を見ていた。
「えっ、なに?」
「なんでもない。」
そう言って、蓮は視線をそらすと、ぼーっと空を見ていた。
私もまた、空を見上げた。
そのときだった。
「あっ!」
私の視界の中で、一つの星がヒュッと流れた。
「見た?今の見た?」
私が興奮気味に聞くと、
「流れたよな?いま。」
蓮も、少しびっくりしているみたいだった。
「すごい!初めて見た!流れ星!」
「俺も。」
「あ!びっくりしすぎて、お願いごとするの忘れちゃった〜!ショック〜。」
私がそう言って残念がると、隣で蓮が笑った。
「ん?なんで笑うの?」
「いや、まだそういうの好きなんだなって。」
「え?」
「だって昔から好きだったろ。そういうジンクスみたいなやつ。」
「それバカにしてるでしょ?」