もう君がいない


そう言いながら、蓮の腕をピシピシと叩く。


「してないって。ははっ。」

「また笑った〜!絶対してるでしょ〜!」

「ごめんごめん、悪かったよ。」

「もぉ〜!」


叩き続ける私の手を、

蓮がパッと掴んで止めた、、。


ドキッとして、ぴたりと止まってしまう私。



「叩き過ぎ、痛えよ。」

「ご、ごめん。」

「ん。」


蓮は私の手を離し、また空を見上げた。



まただ、、。


蓮に掴まれた手首や、うつむいた顔が、温泉から上がった時みたいに熱くなる。


今日の昼間みたいに、、

蓮に触れられた所が。



「茉菜、」


蓮に呼ばれ、そっと顔を上げると、蓮はまだ空を見上げたままだった。


「なに?」

私は、少し緊張して聞いた。


< 72 / 448 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop