もう君がいない
そう言いながら、蓮の腕をピシピシと叩く。
「してないって。ははっ。」
「また笑った〜!絶対してるでしょ〜!」
「ごめんごめん、悪かったよ。」
「もぉ〜!」
叩き続ける私の手を、
蓮がパッと掴んで止めた、、。
ドキッとして、ぴたりと止まってしまう私。
「叩き過ぎ、痛えよ。」
「ご、ごめん。」
「ん。」
蓮は私の手を離し、また空を見上げた。
まただ、、。
蓮に掴まれた手首や、うつむいた顔が、温泉から上がった時みたいに熱くなる。
今日の昼間みたいに、、
蓮に触れられた所が。
「茉菜、」
蓮に呼ばれ、そっと顔を上げると、蓮はまだ空を見上げたままだった。
「なに?」
私は、少し緊張して聞いた。