もう君がいない
「いや、やっぱいい。」
「なにそれ〜、気になるじゃん。」
「なんでもない。」
「え〜、」
蓮は微動だにせず、空を見上げたまま動かない。
その横顔は、どこか切なかった。
「そう言えば、蓮はなんでここに来たの?昼間は興味ないって言ってたでしょ?」
そう。
亜衣ちゃんに誘われたとき、蓮は興味ないからって断ってた。
なのに、一人でわざわざ来るなんて。
「茉菜と一緒。なんか眠れなくて、外の空気吸ってのんびりしたくなった。」
「何かあったの?」
「何も。なんとなくだよ。」
「そっか、ならいいけど。」
それからしばらく、私達は特に話すことなく、ただ黙って星空を眺めていた。
その沈黙が、妙に心地よかった。
自然と心がおだやかになっていく。
それに、この状況が懐かしくも感じた。
お互い何を話すわけでもないけど、でも確かに隣にいる。
いつもそうだったもんね。
この感じ、久しぶり。
また、こんな日が来るなんて、、
蓮が隣にいることが、今でもまだ、少し信じられなかったりもする。