もう君がいない
「だめ。教えない。」
「え〜、また?教えてくれてもいいのに〜!」
「願いごとは、口にしたら叶わなくなるから。」
「そんなことないって〜。教えてよ〜。」
「絶対だめ。」
そう言って、本当に教えてくれなかった蓮。
私は、蓮の願いごとが気になって仕方なかった。
蓮は、何をお願いするんだろう、、
小さかった頃、蓮はなんて書いてたっけ?
必死に思い出そうとしたけど、全然思い出せなかった。
「どんだけ考えても思い出せないって。もう諦めとけよ。」
「へっ、、何でわかったの?」
「何でもわかる。茉菜のことなら。」
さらっとそんなことを言う蓮。
私は、蓮のそんな何気ない一言にも、ドキドキしてしまっていた。
何やってるんだろう、私。
なんでこんなにドキドキしてるの?
おかしいよ、こんなの。
せっかく穏やかになっていた私の心は、またモヤモヤとしたもので埋め尽くされる。
「戻るか、ロッジに。」
「うん、そうだね。」
蓮と来た道を戻り、ロッジの前で別れた。
私の心は、一向に晴れないままだった。