もう君がいない
「茉菜、ちゃんと蓮君のこと助けてあげるのよ?アメリカから戻ってきたばかりで、いろいろと大変だろうから。」
「うん。」
「本当にありがとうね、茉菜ちゃん。」
「いえ、とんでもないです。」
そんな話をしている間に、お母さんがスースーと寝息を立て始めた。
静かになったテントで、おばさんがそっと話し出した。
「茉菜ちゃん、これも覚えてる?昔よく、蓮のお嫁さんになるって、言ってくれたこと。」
「はい。」
「懐かしいわよね〜。蓮も、大人になったら茉菜と結婚するんだ〜って、いつも言ってたわ。」
「そうだったんですか。」
、、知らなかった。
蓮は、そんなこと、面と向かって言ってくれたことなかったから。
私が、お嫁さんになるって言うたびに、
「一人で勝手に決めるなよ。」
って、それしか言ってくれなかったから。
当時の蓮を思い出しながら、そんなことを言ってる姿を想像すると、かわいくて仕方ない。