もう君がいない
「茉菜ちゃん、いま彼氏いるんでしょ?」
「えっ、どうして知ってるんですか?」
「蓮からなんとなくそんなことを聞いて、その後私がお母さんに聞いたのよ。」
私は、隣でスヤスヤ眠るお母さんを見た。
本当に口が軽いんだから。
「茉菜ちゃんの彼氏だもん、素敵な男の子なんだろうね〜。」
「いえ、そんな。」
「おばさんにとっては、茉菜ちゃんも自分の娘のようにかわいいの。だから、茉菜ちゃんには幸せになってほしいわ。」
「おばさん、、」
「茉菜ちゃんならきっと大丈夫よ。茉菜ちゃんみたいに良い子、幸せになれるに決まってるもの。」
「ありがとうございます。」
嬉しかった。
おばさんの言葉が、本当に嬉しかった。
でも、その分、
やっぱりどこか、申し訳なかった。
申し訳なく思っていることも、光貴に申し訳ない気がした。
私は、全然良い子なんかじゃなかった。