発展途上
第一章
用事を済ませた縫依が向かった先はあるビルの最上階。
エレベーターに乗り込み、見上げると首が痛くなりそうな位の高さがあるビルの最上階を目指す。
チン…と音がなり、足を踏み出すと目の前には1つの大きなフロアが広がっている。
歩みなれた様子で先を進む縫依は、フロアに一つだけある扉の前に立った。
コンコンコンと、控えめにノックをする。
扉の横のカウンターには男の人が1人座っているが、縫依がいる事は自然な事の様に振舞っている。
ノックの後、暫くの静寂。
これも何時もの事の様で、縫依は何も言わずに待っている。
カチャッ…と、これまた控えめに開かれた扉から顔を出したのは一人の男。
「………縫依……」
縫依を見るなり彼女の腕を引っ張り、部屋へと引きずり込む。
バタンっと閉められた扉にカウンターの男はやれやれといった表情を向け、また仕事に戻ったのだった。