相棒の世界
「っ!!!」
ニカは声が出ないほど驚いていた。
「どういうこと…だ…?兎…」
「……っ…」
奴の笑い声がだんだん近づいてくる。
「ぎゃはははははは!!!
見ないうちにでかくなったねぇアルバート!」
「黙れ、悪魔が」
俺はもう一度剣を構えた。
クスッと笑うと、奴はその場に止まった。
「やだねーまったく。
まだお前は『親』に対して反抗しているのか?」
「黙れと言っているだろ!!」
心がざわついた。
過去の記憶と憎悪が交差し、めちゃくちゃになりそうだ。
「ふっ、いいねーその目」
「っ……」
「その目だけはあの頃から一つも変わっていねー。
人を殺すときのお前の目だ。
ふふっ、いやー好きだなー俺は!!
お前の殺気に溢れた表情がぁぁぁ…!!」
奴は持っていた武器を屋根に振り下ろした。
途端にバリバリと屋根が割れてゆく。
「兎…斧だ!!」
「ああ知ってる」
斧使い、北の悪魔ーーーゼイル。
数え切れないほどの殺人を犯してきた悪魔。
この国でその名を知らない者はいないーーー。
10年前に捕らえられ、首を跳ねられたと聞いていたがーーーまさか生きていたとは…。