相棒の世界
08. 記憶2【 兎 】
***
「こっちくんな!!」
「目見えねーくせに!!」
ーーーとある小さな北の村。
俺はひたすら差別と孤独で苦しんでいたーーー…
ーーー川に捨てられた後、俺はこの北の村の住民たちに助けられた。
俺は村人の一員となり、生活に必要なだけの食べ物を与えられ、なんとか命をつなぐことができたのだ。
ーーーしかし…
それが俺にとっての『幸せ』ではなかった。
むしろ、さらなる『地獄』の始まりだった。
「ーーー目無し!!」
「ろくに働けないくせになんで生きてるんだ!」
俺が盲目であることが村人にばれてから、彼らの対応はとてつもなく酷いものになっていった。
道を歩くだけで唾を吐かれ、石を投げられる。
働けないのに食料など与えられない、そう言われて3日間何も食わずに過ごした時だって何度もあった。
住む家もなく、俺は身を隠せるところを転々としながらなんとか生きていったのだ。