相棒の世界
「グスッ…うぅ…グスッ…」
生きているのか、死んでいるのかーーー
今までまったく分からなかった。
だがこの時俺は分かったんだ。
「生き…てる……」
自分は生きて、ちゃんとここにいるとーーー。
「坊主、名前は?」
ふと男が聞いてきた。
「アルバート…」
「へぇーアルバートね…」
男はナイフを片手に持ったまま立ち上がった。
「俺はゼイルだ、アルバート。
一つ提案なんだけど……
一緒に生きてみないか?この世界を」
「っ!!!」
俺は顔を上げた。
光が見えたような気がしたのだーーー。
「お前のことは前から知っていたよ。
盲目ねずみと叫ばれてたからねー」
ゼイルはナイフを持ち変えると右手を差し出し、俺の手を握った。
「一緒に生きよう、俺となーーー」
「う…」
ーーーうん……
ーーーこれがゼイルとの出会いだった。
この時俺はまだ知らなかった。
ゼイルが『北の悪魔』と呼ばれる史上最悪の殺人者であったことをーーー。