相棒の世界





「グスッ…うぅ…グスッ…」




生きているのか、死んでいるのかーーー



今までまったく分からなかった。




だがこの時俺は分かったんだ。





「生き…てる……」





自分は生きて、ちゃんとここにいるとーーー。







「坊主、名前は?」



ふと男が聞いてきた。



「アルバート…」



「へぇーアルバートね…」




男はナイフを片手に持ったまま立ち上がった。





「俺はゼイルだ、アルバート。
一つ提案なんだけど……
一緒に生きてみないか?この世界を」



「っ!!!」




俺は顔を上げた。



光が見えたような気がしたのだーーー。






「お前のことは前から知っていたよ。
盲目ねずみと叫ばれてたからねー」



ゼイルはナイフを持ち変えると右手を差し出し、俺の手を握った。




「一緒に生きよう、俺となーーー」



「う…」






ーーーうん……









ーーーこれがゼイルとの出会いだった。



この時俺はまだ知らなかった。



ゼイルが『北の悪魔』と呼ばれる史上最悪の殺人者であったことをーーー。







< 106 / 506 >

この作品をシェア

pagetop