相棒の世界
ニカいわく、ゼイルは大きな斧を支えにして左足だけで立っているという。
俺は唇を噛み締めた。
ーーー病が進行したんだな…
「ぎゃははははは!!!
どうしたアルバート!かかってこい!!」
「…っ!」
俺はニカを背に乗せると、今度こそ剣を構えた。
「左手左足だけになろうと容赦はしない。
ーーーいくぞ、ニカ」
「…おう」
俺はゼイル目掛けて跳んだ。
「ぎゃははははは!!!」
ゼイルも片足だけで跳ぶ。
ーーーカキン!!
空中で刃物がぶつかり合う音が響き渡る。
「…アルバート」
「………」
「『お望み通り』殺してやる」
「…っ!!!」
『殺される瞬間がーーー最も『生』の輝く瞬間なんだよ!!!』
ーーー今更そんなことを言っても遅いぞ、ゼイル…
『生』の実感もなにも関係なくーーー
俺はお前を殺したいのだから!!