相棒の世界





ニカいわく、ゼイルは大きな斧を支えにして左足だけで立っているという。



俺は唇を噛み締めた。





ーーー病が進行したんだな…






「ぎゃははははは!!!
どうしたアルバート!かかってこい!!」



「…っ!」




俺はニカを背に乗せると、今度こそ剣を構えた。





「左手左足だけになろうと容赦はしない。
ーーーいくぞ、ニカ」



「…おう」





俺はゼイル目掛けて跳んだ。




「ぎゃははははは!!!」




ゼイルも片足だけで跳ぶ。







ーーーカキン!!






空中で刃物がぶつかり合う音が響き渡る。






「…アルバート」



「………」



「『お望み通り』殺してやる」



「…っ!!!」








『殺される瞬間がーーー最も『生』の輝く瞬間なんだよ!!!』









ーーー今更そんなことを言っても遅いぞ、ゼイル…








『生』の実感もなにも関係なくーーー




俺はお前を殺したいのだから!!






< 126 / 506 >

この作品をシェア

pagetop