相棒の世界
ーーースルッ
「あっ!」
ふと突然、俺の左の剣が手から抜けた。
それと同時にーーー
ーーードシッ!
「ぐふっ!」
ゼイルの蹴りが腹に入る。
強靭な脚力で、俺は遠くまで吹き飛ばされた。
「兎!」
「っ!!!」
俺はニカを下敷きにしないよう前屈みで着地をした。
「…ハァ、ハァ」
腹に酷い激痛が走る。
「ーーー兎!真上だ!」
「っ!!」
俺は顔を上げた。
奴の笑い声はすぐ近くまで迫ってきていた。
「ぎゃははははは!死ねぇぇぇ!!!」
ゼイルは斧を振り上げた状態ですぐそこまで降りてきていた。
「っ!!」
俺はもうーーーその場から逃げられなかった。
ーーーここで…終わりか……
「……っ」
俺はまぶたをギュッと閉じた。