相棒の世界
ガシャーーーーン!!!
ーーー斧が振り下ろされた。
ーーーん…?
しかし振り下ろされたのはーーー
俺より少しずれた場所だった。
ーーーバキバキバキッ…
屋根にヒビが入る音がする。
「ハァ、ハァ……」
聞こえてきたのは、自分の荒い息とーーー
「……グスッ…ぅ……」
「っ!!」
ゼイルのーーー
すすり泣く声だったーーー。
「あ……」
開いた口が閉じなかった。
ゼイルの泣く声をーーー初めて聞いた。
「ははっ…グスッ…ははは…」
ゼイルは泣きながら笑っていた。
そしてしばらく経つと口を開いた。
「グスッ…できるわけねーだろ…」
「…っ!」
「大事な息子を…グスッ…
殺せるわけがねーだろ……!!!」
「……っ!!」
ーーーゼイル…?
ゼイルの泣く声を、俺は黙って聞いてきた。
呼吸ができないほどに動揺していた。