相棒の世界




でもその少年はーーー




『ゼイル!今日は×人殺したんだ!!』




俺を本当の親として見てくれたんだ。




『よくやったなーアルバート!!』




頭を撫でてやったら汚い顔で笑うんだ。



可愛くて可愛くて仕方がなかった。





ーーーはじめは軽い気持ちだった。




少年を助けてやろう、ただそれだけだった。




だがあの笑顔を見るたびに……



俺は少年を大事にしていこうと思っていたんだ。




少年は俺にとって、ただ一人の家族になっていった。



大事な息子という存在になっていった。




命にかえてでもーーー守りたいものになっていった。













ーーーだが不幸はたちまち訪れた。



俺は不治の病にかかったんだ。



体がどんどん腐っていく病だ。



自分があまり長くない命であることも分かっていた。







…だから、だからこそーーー




俺は残り僅かな時間を少年と過ごそうと考えたんだ…。








ーーーしかし、そんな時だった。




『お前の病気を治せる』



『っ!?』




俺の前に『黒犬』が現れた。





『ただし条件だ。
ーーー俺たちの組織に入れ』



『……っ』






俺は考えた。



少年の気持ちよさそうな寝顔を見ながら、ひたすら考えていた。



もうでかくなったのにも関わらず、少年の顔は可愛くて仕方がなかった。








『絶対にーーー離れてたまるか…』






俺は残り僅かな時間を、こいつと過ごすことを決めた。





心からーーー




本当に心から愛していたんだーーー







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