相棒の世界





ーーー黒犬と会った日、俺はでたらめを言った。



なんでもいいから理由をつけて、少年のそばにいようとしたんだ。




『分かった、仕方がない…』



『悪い、黒犬』





俺は急いで家に帰った。



少年の顔を見たかったんだ。






だけどーーー






『…アルバート?』





少年の姿は、もうそこにはなかった。





『アルバート!!』





俺は死ぬ気で少年を探した。



そこらじゅうを駆け回り、這いつくばり、隅から隅まで探し回った。




でもーーー



少年を見つけることはーーーできなかった。







『アルバート……
アルバートォォォォォ!!!』





深い悲しみが俺に襲いかかってきた。



俺は一人、暗い部屋の中に取り残されたんだ。






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