相棒の世界
2週間もの間、今持ち合わせてる食料で足りるはずがない。
それに黒犬たちもすぐ近くまで来ているはずだ。
北の森は人目が少ない。
奴らがいつ襲ってくるかも分からないな…
「…たくっ…危険すぎるな…」
他にいい方法はないのか…?
「ーーー兎、行こう」
「…っ!」
「北の森へ入ろう」
「っ!?」
ニカが言った言葉に、俺は目を丸くした。
何を言ってるんだ、このクソガキは!!
「ニカ、よく考えて見ろ!
どう考えたって危険じゃないか!
やつらは……」
俺は口を動かしている、その時だった。
ギュッーーー…
「っ!?」
ふと兎が俺の手をそっと握りしめた。
「っ…ニカ…」
「兎ーーー
以前にも言ったことだが…」
ニカは握る力をギュッと強めた。
「…お前は己にもっと自信を持っていいんだぞ」
「っ!!!」
『もっと自分の腕に自信を持て!
ーーー兎ちゃん!!』
鷹目の言葉が蘇った。
鷹目が何度も何度も俺に言ってきた、
あの、言葉ーーー。
「私だって怖い。
これからどうなるのか、危険を避けたい気持ちでいっぱいだ。
ーーーだが、兎。
私はどんなに怖くても、前に進むことができるのだ。
それはなーーー
お前を信じているからだ」
「っ!」
俺はニカに顔を向けた。
ニカはまだ手を握りしめている。
「私はお前を信じている。
だからお前もお前のことを信じろ」
前へ進もう、兎ーーー。