相棒の世界
第3章 運命
11. 屋敷
ーーー北の森へ入って、約5日が経った。
今のところ、黒犬たちに襲われることはない。
しかしーーー
「兎…」
「なんだ、ニカ」
「喉が…カラカラだ…
腹も減って仕方がない…」
持ち合わせていた食料が底をつき、俺たちは精神的にも体力的にも弱り果てていた。
「もう少し待て、ニカ。
この先一時間ほど歩けば湖がある。
それまでは我慢するんだ」
「お、おう…」
「ガイドン、道は間違ってないだろうな」
「はい、大丈夫です…!」
ガイドンは相変わらず俺の手を引いて歩いていたが、その手は少しだけ震えていた。
ガイドンも体力的に厳しいのだろう…
ーーー俺たちは暗い森の中を歩き続けていた。
夜が来ては火を炊き、そこを囲んで眠りにつく。
朝が来ては荷物をまとめて、またさらに歩き出す。
その繰り返しで進み続けてはいたものの、食料を確保できるような村や集落が見つかることもなく、とうとう今まで来てしまったのだ。