相棒の世界
ーーーしばらく経つと、あたりは暗くなり始めた。
肌に感じる冷たい空気で、夜が近づいてきていることはなんとなく分かった。
「ジョンさん…
ニカさんは大丈夫ですかね…
目を覚ましやせんが」
「ああ、きっと大丈夫だ。
しばらく寝かしておけ…」
俺はニカのすぐ隣に座っていた。
シルクハットを両手に持ち、ひたすらその滑らかな表面を撫でる。
「今日はここで野宿だ。
火を焚いてくれ、ガイドン」
「…分かりやした、ジョンさん」
離れていくガイドンの足音を耳にしながらも、俺はやはり昼間のガイドンの様子を気にしていた。
何かを隠すようなーーー
そしてごまかすようなーーーあの笑い声。
それに昼間のあのことがあってから、どことなくガイドンは大人しくなったような気がする。
俺たちを必死に支えてくれていることは嬉しいがーーー
やはり何かがひっかかって仕方がない。
「…う、ん……うさ…ぎ……」
「っ…」
ふと、苦しそうな声でニカが俺を呼んだ。
「うさ…ぎ…」
「………」
汗を滲ませるニカの額に、俺はそっと手を置いた。