相棒の世界
ーーーあれからはや6年が経過。
俺は『ジョン』と名を改め、隣町の小さな靴屋として生活をしている。
ーーー殺し屋は辞めた。
もう、『兎』に戻ることもないだろう。
「ではまた!ジョンさん!!」
俺はガイドンを見送ると、店の中に入って中から扉の鍵を閉めた。
今日はもう遅い。
店は閉店だ。
ーーーゴンッ
「……っ」
ふと足がテーブルにぶつかり、上に置いてあった何かが落ちた。
俺はそれを拾い上げるとーーー
「………」
表面を手で優しく触った。
ーーーやはり、時間が経過しても触りごごちだけは上質な鷹目のシルクハット。
『ーーー兎ちゃーん?』
あの何かを企んでいるような口調は、今でも頭の中に染み付いていて、消すことができない。
「6年経ってもまだ信じられないな、鷹目…」
俺は壁にシルクハットをかけると、店の電気を消した。
『お前はまだ…世界を……知らない…』
未だにあいつの言った言葉の意味が、俺は分からない。
でも、おそらくーーー
「………」
いや、やっぱり分からないーーー