相棒の世界
「ところでだ、兎」
「なんだ」
「そこで寝ている女は一体誰なんだ」
「っ!」
ニカが言っているのはきっとーーー
ミラのことだ。
「どういうわけか説明してほしいのだが」
怒り口調のニカに、俺は「ハァ」とため息をついた。
そしてーーー
「こいつはミラだ」
ニカが気を失っている間、何があったのかを順を追って説明していったーーー。
「ーーーそれでこの女を助けたわけか」
「ああ、そうだ」
「そんな力を持つとは驚きだな」
「お前も人のことは言えないだろ」
「お前もな、兎」
ニカはまあまあ納得している様子だった。
「…っ…あれ…ここは…」
ふと、ミラが目を覚まし、寝ぼけた声を発した。
「ミラと言ったな」
それと同時に威勢良くニカが声をかけた。
「っ…おいおい…」
このガキはどこまでもハキハキしているな。
「あ…」
驚いている様子のミラに、ニカは続けた。
「私はニカだ。
昨夜は私たちのことを助けてくれたみたいだな、礼を言おう。
ーーーだが一言言わせてもらう。
ちょっとでも足を引っ張るような真似をしたら、すぐさま置いていくからな」