相棒の世界
「すぐそばの小道を通っているぞ、兎」
「ああ、分かった」
万が一のために、俺は両腰の剣を備えていた。
「ハァ、ハァ…」
左隣からは、ミラの緊張しているかのような荒い吐息が聞こえてくる。
「ミラ」
「っ!」
「大丈夫か?」
「あ、…はい」
落ち着けとばかりに、ミラは大きく深呼吸をしていた。
ずっと支配されてきた主人に、とてつとなく恐怖を感じているのだろうーーー。
「心配するな、ミラ」
「え…」
俺はミラの頭を優しく撫でた。
「あ…」
「もし見つかったとしても、俺とニカでなんとかする。
お前はガイドンと一緒に逃げるんだからな」
「…っ!」
俺は少しばかり微笑むと、改めて剣を備え直した。
そしてニカに声をかける。
「ニカ、俺のそばに来い」
「っ…」
「万が一の時のためだ。
お前がいないと俺は戦えない」
「………」
ニカは黙ったまま俺の隣に移動してきた。
少し落ち込んでいるように感じるのは気のせいか?