相棒の世界
「二つ目はなんだ?」
「二つ目、それはなーーー」
『ーーーアルバート、お前を死刑にする』
「俺に降りかかった最大の苦難だよ」
ゴクリとニカは唾を飲んだ。
俺はそのまま続けた。
「俺もたくさんの罪を犯してきた人間だった。
多くの人間を殺し、自分の恨みを見えない世界に向けて放っていたんだ。
ーーー当然、そのツケは最終的に自分にまわってきたよ。
俺は全ての罪を背負ってーーー死ぬことを宣告されたんだ。
だがな……俺はそこで救われたんだ。
死ぬ寸前にある者に助けられたんだ…」
『こいつは死ななければならないだって?
じゃあ、こいつを生み出してしまったこの世界は、もっとはやく死ななければならないな!
はははっ!』
『ーーー俺と一緒に来なよ』
脳裏に蘇ってきた声が俺の心を震わせた。
「あいつは人殺しの俺を救ったんだ。
生かしてくれたんだ。
生かされた俺はーーー自分自身の憎しみの気持ちだけで、父を殺す権利はないと思ったんだ。
どんな悪でも、どんな憎しみを募らせた相手でもーーー
それらが全て死に追いやられるほど、世界は狭くないはずだ」
ーーーそう教えてくれたのは…
俺を救ってくれた、あいつだった。