相棒の世界
「娘さん2人は部屋の奥にベッドがあるから、そこに寝かせればいい!
あんた方2人はそこに腰掛けなさいな!」
そう言うとハカゼは部屋の隅からゴソゴソと何かを取り出してーーー
それを俺の手に持たせた。
「っ?…これは…」
「はは、ステッキだよ」
「っ!!」
「あんたさんは目が見えないようだからね。
これ無しでの旅は一苦労だったろうに…
まあ、ガイドンがいたからよかったけどねぇ」
俺は持ち手の部分の形を、手の平で確かめた。
これはーーー何かの獣か?
「ーーー犬だよ」
ふと、ハカゼが口を開いた。
俺は再度持ち手を握り直す。
言われてみればーーー本当に犬だ。
「珍しいステッキだろ?
おそらくこの世に一つだけのものだ」
「っ!」
俺は顔を上げた。
こんなにいいステッキをーーー
使わせてもらっていいのだろうか…
「大事にしてくれな」
「あ…」
ーーートントン…
ハカゼはまた俺の肩を叩くと、俺から離れていってしまった。
大事に、か…
俺はギュッと持ち手を握り直した。