相棒の世界
「ふっ」
俺はその言葉に思わず笑ってしまった。
ハンサムか…
自分の顔を見てみたいものだ、全くーーー。
「ーーーそれとねぇ」
ハカゼは俺の肩から手を離した。
「あんたもそろそろ正体を明かした方がいいんじゃないかい?ガイドン」
ーーーえ?
正体…!?
俺はすぐさまガイドンの方に顔を向けた。
ガイドンはただずっと黙っている。
「あたしは全部お見通しなんだからね、ガイドン…いや、鼠(ねずみ)。そんな薄汚い変装をして、ずっとこの人を見張っていて、お前はわざとここに連れてきたんだねぇ、この人たちを」
ハカゼが低い声でそう言うと、ガイドンは含み笑いをした。
「それを言われてしまったら、もう俺はおしまいですよ、ハカゼさん。
…ずっと黙っていようと思っていたのに」
ガイドンは立ち上がると、俺に向けてゆっくりと口を開いた。
「……ずっと黙っていてすみません、ジョンさ…いや、アルバートさん。
俺は、実は鼠というスパイなんです。
変装してあなたのことを6年間ずっと見張っていました」
「っ!!」
鼠という名前に俺は驚愕した。
政府公認の天才スパイ、その名も鼠。
数年前から行方が分からなくなったと聞いていたがーーーこういうことだったのか。