相棒の世界






ーーー母さん…



母さんは今どこにいるだろう。




夢に出てくるのは、いつも母さんだった。




俺の夢は真っ暗闇だったが、母さんの声だけは聞こえてきた。





『アルバート…』





夢の中、母さんはいつも俺の名前だけを呼んだ。





「母さん…」






俺の名前を呼ぶだけなんて嫌だよ。






愛してるって…




そう言ってくれよ……









「ーーーはっ!」





朝目覚めると、俺の頬はいつも涙で濡れていた。





もう死んでしまいたい、そう思っていても、心のどこかで何か希望を求めていた俺。





「うぅ…グスッ…」





おかしい。



絶対におかしい。




もう俺は死んでしまいたいんだよ。




なのにーーー





「グスッ…うぅ…」





なんで死ぬのがこんなに怖いんだ…!




なんで今になって母さんを求めているんだ…!







「ううああああああ!!!」




「うるせーぞ黙れ!!!」





カン、カン、カンーーー!!!





牢屋で俺は何回怒鳴られただろうか。




数など覚えてはいなかったがーーー




あれは全部、母さんを思い出したことによって流された涙だったということは確かだった。






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