相棒の世界





ーーーそしてその日は来た。




「出ろ、時間だ」



「………」




俺は牢屋から出されると、腕を縄で縛られ、そのまま死刑台へと連れて行かれた。




「ーーーほら、歩け」



「………」




足に力が入らず、俺は半ば引きずられながらも連れて行かれた。





ーーーあのときの感情は覚えていない。




『絶望』の言葉しか、頭にはなかったような気がする。






外に出た途端、俺はたくさんの罵声を痛いほど浴びせられた。




「地獄に落ちろ!!」



「娘を返してぇぇぇ!!」



「はやく死んでしまえ!!」



「悪魔の子!!!」








「……っっっ」




俺は目をギュッと瞑り、唇を血が滲み出てくるほど噛み締めた。




心が砕け散ってしまいそうだった。



もう俺を愛してくれる人は1人もいなかった。





死刑台の上に載せられると、俺は首に縄をはめられた。



絞首刑だった。





「アルバート、お前を死刑にする」




指揮官の言葉が聞こえてきたと同時に、周囲の声はより一層大きくなった。




全てが俺を叩くものばかりだったが、声が重なりすぎて何を言っているのか分からなかった。






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