相棒の世界




ーーーと、その時だった。




「ちょっと待ったあああ!!!」



「っ!?」




ふと、目の前の観衆の中から、誰よりも大きな声が聞こえてきたのだった。




まだ若い青年の声ーーー。




途端に辺りは静まり返った。






ーーートンッ



青年は死刑台に登ってくると、俺の目の前に立った。



そしてーーー




ポンッ…




優しく肩に手を置き、俺の耳元で呟いた。





「もう大丈夫だ」



「っ!!」



「ふっ」と青年は笑うとすぐさま振り返り、大声で叫んだ。




「死刑は取り消しにする!!!」



その言葉を聞いた人々は、一斉に声を上げ始めた。




「なんだと!?!?」



「どういうことよ!!!」




脇で指揮をとっていた男はすぐさまこちらに寄ってきた。




「邪魔をするな小僧!!」



「ははっ、ごめんね指揮官ちゃん」





ーーーバン!!




目の前の青年は銃を取り出すと、それを天に向かって一発放った。




辺りはまた静かになり、指揮官も足を止めた。






< 235 / 506 >

この作品をシェア

pagetop