相棒の世界
観衆はみな納得がいかないといった雰囲気を醸し出していた。
「どうしてよ…」
「さぁ…」
聞こえてくる不満の声に、俺は複雑な気持ちになった。
俺はーーー生きていいんだろうか…
「ーーーいいか、みんな」
ふと、鷹目が口を開いた。
鷹目のものだとは思えないほどの真剣な低い声が、辺り一面に響き渡る…。
「こいつは確かに重大な犯罪を繰り返した少年だよ。だけどな…
この少年を生み出してしまったのは紛れもなくお前たちなんだぞ。
ひとりぼっちの少年に…誰か手を差し伸べたやつはいるのか?
親のいないこの少年に…誰か食べ物を与えたやつはいるのか?
目の見えないこの少年に…道を作ってやったやつはいるのか…!?
この少年はきっと暗闇の中を一人でさまよい、必死に何かを掴もうとしたんだ。
だがそれを見事に邪魔された。
ーーー人の心を見ることができない…人の苦しみを分かろうともしない…お前たちにな。
少年の罪だけを見つめるな。
まずはお前たちの罪を見つめろ。
自分の心に問いかけてみろ。
胸に手を当てて考えてみろ。
ーーーこの少年に、罪はないはずだ」