相棒の世界





ーーーそれから俺は政府公認の殺し屋として生まれ変わった。




殺し屋としてーーー



鷹目の相棒としてーーー



俺は毎日を過ごしていった。





俺の過去の罪は表面上全て消されたが、人々の心にはまだ残っていた。




それでつけられた肩書きが『史上最強最悪の殺し屋コンビ』。




最強でありながらもーーー



最悪であった俺のことを指すものだった。



俺はそのことを考えないようにしていた。



自分はただ真面目に殺し屋をやっているだけだ。



そう何度も心に言い聞かせた。







「兎ちゃーんっ!」



「っ…なんだ鷹目」



「今日のパンツは…「黙れ」」






こんな鷹目であったが、俺は鷹目を嫌いになったことなど一度もなかった。




「ふっ…馬鹿野郎」




鷹目が本当に大好きだった。



俺という人間をしっかり見てくれていた鷹目は、俺にとって死ぬほど大事な存在だった。








「ーーー兎…!

お前はまだ…世界を知らない…!!」







鷹目が死んだ時のあの言葉はーーー



何か深い意味があるのだろうと、本当は分かっていた。





だがーーー





「鷹目……グスッ…
なんで、死んだんだよ…!!」





悲しみに暮れ、目の前が真っ暗になりかけていた俺はーーー




その深い意味を探すことを恐れたのだった。








ーーー気づけば6年が経っていた。





6年経ってしまったが…



今更その意味を探し出すのはーーー



少々遅かったか?鷹目。






俺がそう訊いたらーーー



きっと鷹目はこう言うだろう。








『ジョークなんだろ?』












ーーー鷹目、俺は探すよ。




お前が俺に伝えたかったものーーー



お前が残した言葉の本当の意味をーーー



探し出して見せるよーーー。






お前は俺にーーー




命を与えてくれたやつだった。




与えられた命をーーー



俺は絶対に無駄にしたりなんてしない。






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